インド・南アジアのニュースから思うこと(その他雑記も含む)

インド在住の筆者がをインド中心に南アジアのニュースから思うことを綴ります

インドにロシアのミサイルが必要な理由

いま世界中が注目するウクライナ情勢。

鍵を握るロシアですが、

そのロシアとインドとの関わりについての

個人的に興味深かった日本語の記事です。

blogos.com

 

アメリカのシンクタンクハドソン研究所の長尾賢さんが

詳細に解説してくれています。

 

 

まず、インドは

アメリカなどの西側諸国とロシア、どちらとも関係を保ちつつ、

ガッツリどちらかの陣営にいるわけではない

「全方位外交」と呼ばれる方針が特徴的な国です。

 

アメリカとは

最近では、

「クワッド」と呼ばれる日米豪印の枠組みに加わり、

ロシアとは

長年の友好国としての関係があります。

 

しかし、

米ロといえばソ連時代の冷戦は終わって久しいものの、

いまも多方面で互いにけん制しあう大国同士。

 

その関係性が、

ロシア製ミサイルの導入でもあわらになっています。

jp.reuters.com

 

去年、

ロシア製のミサイル「S400(=えすよんひゃく)」供給開始で、

アメリカがインドに制裁を科すのではないかと言われているんです。

 

かつて、トルコがS400を導入した際に

アメリカが制裁を科しているんですよね。

 

インドにとっては、

アメリカを刺激してまで行った今回のミサイル配備は、何のためなのか?

 

ズバリそれは「対パキスタン」である、と長尾さんは言っています。

 

印パについては、語るべくもないことですが、

もともとインドと同じ国だったパキスタンが分離独立して以来、

第一次(1947年)、第二次(1965年)、第三次(1971年)と、

ガチの戦争が行われていて、

いまもカシミールをめぐる問題など、

ずっとくすぶり続けている関係の国同士。

 

パキスタンは第三次印パ戦争後、

・核兵器

・テロを支援すること

の両面でインドを攻撃する方針をとっているそうです。

 

対してインドの戦略は、

パキスタンを南北に分断して占領する作戦をとっていたのですが、

2001年に起きたテロに対して実行しようとしたところ、

配備に時間がかかりすぎるなど、実際は無理なんじゃない?

となってしまったようです。

 

そこでインドは作戦変更。

もっと小規模に攻撃(空爆や特殊部隊でのピンポイント攻撃など)する方針へ。

 

するとパキスタン側はさらに対抗して、

”じゃあインドがこちらに攻めてきたら、小型の核弾頭で攻撃しちゃうよ”

という作戦を持ち出してきたんですね。

 

これには、インドも困ったと。

その小型核弾頭を打たれたときには、

それを迎撃する武器が必要なんだそうです。

 

アメリカ製のものもあるんですが(日本でも話題になったPAC3とか)、

めちゃくちゃ高価だし、移動とかすぐに出来ないらしいんですね。

 

そこで、安価で使い勝手もいい

ロシアのミサイルS400が必要なんだということです。

 

国際関係のニュースってどこか”空中戦”の印象があります。

 

とくに防衛の話って、

現実的になって欲しくないシナリオでもあるし、

軍事好きの人以外にはあまり伝わりにくいかなと思います。

 

しかし、インドのような大陸の国同志は、

かならずどこかが陸上で国境を接し、

その国境地域には互いの国の人たちの生活があります。

 

そこに暮らす人たちが普通に平和な暮らしができるには

どうすれば良いのか?

 

ウクライナ情勢も含めて、

そうした目線からニュースを見ていかないとな、と

改めて感じました。

 

ではでは、カルミレンゲ!!