グレートな映画です〜「The Great Indian Kitchen」を見て
デリーでは最低気温が10℃を下回り、短い冬の真っ只中という感じです。
この時期は空気も良くないので、
毎朝の散歩に行くモチベーションも下がり気味ですが、
なんとか日課を今日もこなしました。
さて今日は、少し前の記事で恐縮ですが、この記事から。
インド界隈の人には有名すぎる話題ですが、
先週末1月21日(金)から、日本で公開が始まった映画、
「The Great Indian Kitchen(グレート・インディアン・キッチン)」。
タイトルだけ聞くと、どんな料理映画が始まるの?と思いますが、
見ていない方は、ぜひトレイラーだけでも見てください↓
どうでしょうか?グッと引き込まれませんでしたか?
「キッチンという名の牢獄」
素晴らしいコピーですね。
まさにこれに尽きる映画です。
元々セリフもそこまで多くなくて見やすいのですが、
映像とカメラワークが素晴らしく、ずっと引き込まれてみられると思います。
舞台はインド南部・ケララ州のカリカット。
高位カーストの男女がお見合い結婚するところから始まります。
この映画の魅力の「映像」ですが、
そのひとつはキッチンと名のつく通り、料理シーンだと思います。
私は南インド料理が好きなので、
冒頭からさまざまな南インド料理がキッチンで作られる様子を見るだけで
とても楽しめました。
そしてこの映画、
料理シーン、食事のシーンが、何度も何度も出て来ます。
それもほぼ同じ家のキッチン、食卓で。
しかし、主人公の妻の気持ちが、日々の生活の中でどんどんと変化していきます。
いわゆる「男尊女卑」が残るインド社会、
また、ミソジニーと呼ばれる「女性嫌悪」の意識、
家父長制の強い家庭に入る女性が直面する現実とは。
監督自身が、インドの社会問題を詳に映像化したことで、
大手配給会社からの配信を断られるも、
小さな配給会社でコロナ禍で始まった配信がインド国内で話題となり、
アマゾンプライムが国内外に発信し、世界でも話題になった作品です。
もう一つ、女性権を描く場面としてのモチーフで出てくるのが、
「サバリマラ寺院」事件です。
ケララ州にある、
ヒンドゥー教の神「アイヤッパ神」を祀る聖地が「サバリマラ寺院」。
長年「女人禁制」の寺院として知られてきましたが、
2018年に最高裁判決で、その掟が違憲だと判決が出ているんです。
その判決後、女性が参拝に行こうとするも、
男性信者の妨害にあって実現しなかったそう。
しかし、勇敢な女性はいるものです。
2人の女性が、私服警官と一緒に群衆に紛れて寺院立ち入りと参拝に
成功したというのです!
それを知った右翼のヒンドゥー教徒たちが暴徒化して
大きな事件へと発展したのだそうです。
詳しくは↓
以前「生理の貧困」関連の記事にも書きましたが、
インドの一部では、
いまだに生理中の女性は「穢れ」ているとされ、
寺院への参拝が許されなかったり、
家庭でも「穢れた」存在としてその期間中は扱われることがあるんです。
映画ではそこがリアルに描かれていて胸が痛くなります。
そして、映画はクライマックスへ向かうのですが、
これがまた秀逸な映像とストーリーなんですよね。
見た人への「読後感」をしっかりと残してくるラストだと思いました。
日本人女性はもちろん、日本人男性にも是非見てほしい作品です。
きっと思い当たる日本社会の姿や自分自身の経験や記憶が
呼び起こされると思うから。
ではでは、カルミレンゲ!!